2011年2月27日日曜日

ギャラリートークという名の講演会...

本日、池田龍雄さんが会期中に来福される最後のイベント、共同アトリエ・3号倉庫での池田さんのギャラリートークが終了しました。

2時開始の3時終了予定ではありましたが、予想通り、いえ予想を超えた1時間50分。終了は4時前となりました。

しかしそれゆえ、お話はとても充実したものでした。

「絵が分からないという人がいるが、ぼくは分からないのが分からない」から始まり、「線」の話、「場」の話、物理学やら哲学やらを交えながら、果ては「閉じた宇宙のなかにもうひとつ閉じた宇宙をつくることで窓を開け、宇宙を開くのだ」と。

美術は想像力でもって世界を開き、場合によれば変革するためのフィクションであり、それを「分からない」という人は美術=フィクションを誤解しているのではないか、と最後は見事に結ばれました。

トークが始まっていきなりの土砂降りの雨は、宇宙が池田さんを歓待しているのかもしれない。そんなふうにすら感じられた、熱の入った講演会、、、いえギャラリートークでした。






















写真は宇宙について熱っぽく語られる池田さんの様子。あの、マイクが明後日の方向に向かってますが、、、。

講演会終了

















池田龍雄さんの講演会「アヴァンギャルドの軌跡 1970年代以降の作品を中心に」が昨日終了しました。

「穴」「とげ」「反転」「反絵画」と、池田さんの仕事を振り返るとともに、これからの壮大な仕事を期待させるキーワード続出の、とても濃いお話しでした。

1時間30分の予定も案の定大幅超過、2時間30分の大奮発(?)で終わったのは4時30分。

それでも話し足りない先生は、打ち上げ会場でもほとんど講演会のつづきを、講演会を超えるテンションで(笑)話してくださいました。






















打ち上げ会場での池田さん(右)と、1月30日に舞踏のパフォーマンスを披露してくださった青龍会の原田伸雄さん(左)。

楽しそうでしょ?

2011年2月23日水曜日

いよいよラストチャンス!

毎週末にイベント目白押しの本展ですが、いよいよ今週末は池田龍雄さんご本人が自作を語る最終回。福岡ケンビでの講演会と3号倉庫でのギャラリートークです。

ここを聞き逃したら、マズイっちゃないと?

以下、担当学芸員の熱いメッセージとともに。


◆2月26日(土)

池田龍雄講演会「アヴァンギャルドの軌跡 1970年代以降の作品を中心に」

午後2時~3時30分
場所:福岡県立美術館・4階視聴覚室(無料、当日先着順80名まで)

社会に向き合い、ルポルタージュ絵画、ペン画の名作を手掛けた50~60年代をへて、
70年代の池田さんは、概念芸術に関心を寄せます。
「梵天の塔」などのパフォーマンスを自ら展開しながら、
15年以上におよぶ、宇宙と生命の深奥を描いた
絵画シリーズ「BRAHMAN」に取り組み始めたのも70年代でした。
美術館評価の高い、50年代のペン画に対して、
70年代以降の、それ以前とは大きく変貌した作品群が、
これまであまり評価されてこなかったのは事実です。
60年の全貌を紹介する本展開催を機に、
70年代以降の創作について池田さん自身が語る、
これまでなかった貴重な機会です。


◆2月27日(日)

作家が語る見どころトーク3

午後2時~3時
場所:共同アトリエ・3号倉庫(無料)

作家によるギャラリートークの第3弾は、
90年代から2000年代の作品を展示した、
本展第2会場:共同アトリエ・3号倉庫で開催いたします。
代表作「漂着」などの複数のオブジェと絵画を組み合わせた、
ひとつの大きなインスタレーションともいえる空間で、
26日の講演会の続きにあたる、今を刺激する鮮烈な言葉が、
現役の画家の口から、ダイレクトに聞けるはず!

九州4館でも「池田龍雄まつり」

現在九州では「池田龍雄まつり」が絶賛開催中!

福岡ケンビ+3号倉庫での本展開催にあわせて、池田作品を所蔵されている九州4つの美術館がそれぞれの作品を展示してくださっているのです。

そこで、各館から送っていただいた会場写真とともに、遅ればせながらのご案内を。

お近くの人はもとより遠くの方も足をお運びいただき、各館自慢の池田作品をどうぞご堪能ください。



3月27日まで
2階近現代美術室にて
「20世紀後半 不安と絶望からの出発/『池田龍雄のペン画』」と題してペン画5点を展示

《傷痍軍人》1954年
《寓話 ―マン・レイ風に― (網元シリーズ)》1954年
《重い艦(ふね)》1955年
《台風野郎》1959年
《地熱 ―三池の構図― 》1960年














*池田作品は画面左壁面に並んでいる5点です。




3月13日まで
1号B展示室にて
「池田龍雄 前衛美術の道」と題してペン画8点、ボックスオブジェ2点を展示

《ボタ山に働く人 B》1953年
《ちから》1953年
《酒場「立川」》1954年
《戦利品》1955年
《覆面》1956年
《砦》1958年
《砦》1959年
《百仮面》1962年
《ストリッキング》1990年 ボックスオブジェ
《火の法則》1991年 ボックスオブジェ





4月10日まで
2階常設展示室にて
「池田龍雄 島尾敏雄作 小説『月下の渦潮』」と題して《月下の渦潮》挿絵原画(1980年)17点を展示



















3月13日まで
総合案内受付の壁面にて《8 HEADS(八つ頭)》(1998-99年)というボックスオブジェ8点組を展示























2011年2月13日日曜日

こってりな3日間が終わりまして...

金曜日は対談、土曜日は『ANPO』、日曜日は映画と、こってり濃厚な3日間が終了しました。

いやあ、濃かった。けれど、(胃に)もたれることなくこの爽快な気分はなんでしょう。ぶよぶよ、ふらふらな日常にざくっと芯を通してもらった、そんなかんじです。

写真は『ANPO』上映前の池田さんによるミニトークの様子。嬉々とお話しいただき、この日は悪天候のため早々に飛行機で東京へ戻られました。

さて、来週の土日はわりとあっさりめ。

19日(土) 本展担当の川浪学芸員によるギャラリートーク(14時から展示室にて)
20日(日) 映画『池田龍雄 梵』と池田龍雄『梵天』の上映(14時から視聴覚室にて)

しかし油断することなかれ(?)再来週はさらに濃いめがやって来ます。

26日(土) 池田龍雄講演会@視聴覚室
27日(日) 池田さんの見どころトーク@共同アトリエ・3号倉庫

ともに2時からで、講演会は1時間30分、トークは1時間を予定していますが、飄々と「日はまだ長いから...」と時間超過は必至でしょう。笑

どれもこれもお楽しみに。

2011年2月11日金曜日

池田龍雄×渡辺玄英、対談終了

さきほど、池田龍雄さんと渡辺玄英さんとの対談が終了しました。

1時間30分の予定を大幅に超過し、気付けば2時間30分。美術の話、詩の話(渡辺さんは詩人です)、戦争の話、時代性の話、そして恋の話まで、話題は尽きず深まるばかり。

人生80年も生きてりゃ、そりゃあいろんなことが変わりますし、池田さんの作品も変わっていきますが、それでも芯はおどろくほど強く、意識のフレームワークはぶれず、つねに明快。

どうしてそんなふうにいられるのか?

やっぱり最後に辿りつくのが、戦争を生き延びたという体験ではないかと思うのです。自らの経験でものを考え、身体の声に耳を傾けるからこそ明晰な知性を獲得し、無二の作品世界を深めることもできるのでしょう。

とても刺激的なお話でした。

そしてなによりも、世代の異なる対談者のそんな深いところに、軽やかに的確に切り込んでいかれる渡辺玄英さんという個性にも感嘆するばかり。

渡辺玄英さんの詩集には『けるけるとケータイは鳴く』『火曜日になったら戦争に行く』(ともに思想社)などがあります。池田龍雄展とあわせてチェックしてみてください。

2011年2月10日木曜日

濃厚な3日間が始まります。

池田龍雄展、明日からの3日間は濃厚なイベントが続きます!

以下、担当の川浪学芸員からこれまた濃厚なご紹介です。

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◆2月11日(金・祝日)午後2時から

対談 池田龍雄×渡辺玄英(詩人)
「変貌する時代/表現者とは何か」


4階視聴覚室(無料、先着80名まで)

サブカルチャーの領域から詩の現在に接近する、詩界のニューウェーヴ渡辺玄英さんが、
戦後、そして表現の可能性をめぐって、池田龍雄さんとバトルトーク!
実は昔、池田さんが画家以外で憧れたのは、映画監督と小説家。
戦後美術や自分史をまとめたすぐれた著作が多いのもうなずけます。
いつの時代も、さまざまなジャンルの芸術家と交流してきた池田さんの生き様にも触れられるはず。




◆2月12日(土)


映画Aプログラム
リンダ・ホーグランド監督『ANPO』上映(1時間29分)


4階視聴覚室(無料、先着80名まで)

【1回目】午後2時から *終了後に池田さんのミニトーク付き
【2回目】午後6時から *終了後の展覧会鑑賞はできません


開場はそれぞれ30分前です。

お待たせしました。評判のアートドキュメンタリー映画「ANPO」の登場です。
60年安保にとどまらず、戦争、民主主義、基地、沖縄、平和をめぐって、
池田さんをはじめとする多くのアーティストが、そして彼らの絵が語ります。
抵抗の精神と希望を、アートとアーティストの力を感じさせられる映画です。
福岡での上映は、いまのところ当館のみ
ぜひお越しください。




◆2月13日(日)午後2時から


映画Cプログラム
池田龍雄『ASARAT橄欖環計画』(1972年・16分)+粕三平監督『怨霊伝』(1967年・17分)


4階視聴覚室(無料、先着80名まで)

池田さんの手がけた概念芸術その1が
「ASARAT橄欖環計画」(アサラットかんらんかんけいかく)。
「怨霊伝」は、制作者懇談会メンバーの有志で制作した映画。
月岡芳念の「無残絵」を中心に、池田さんの「百仮面」シリーズも登場します。